Letter 医学:遺伝子操作によって作製した、C型肝炎ウイルス感染のヒト化マウスモデル 2011年6月9日 Nature 474, 7350 doi: 10.1038/nature10168 C型肝炎ウイルス(HCV)は、いまだに医学的に重要な問題であり続けている。抗ウイルス治療は不十分な効果しかなく、ワクチンは存在しない。より効果的な治療法の開発を阻んできたのは、適切な小動物モデルがないことである。免疫不全マウスへのヒト肝細胞の異種移植が有望なことは明らかになっているが、これらをモデルとして使用するには重大な難点がある。これまでに、in vitroでマウス細胞にHCVを侵入させるのに必要な最少のヒト因子は、CD81とオクルディンであることが観察されている。今回これに基づいて、遺伝学的方法によってマウスのヒト化を試みた。本論文では、2種類のヒト遺伝子を発現させるだけで、完全に免疫適格な近交系マウスへのHCV感染が可能になることを明らかにする。マウスの遺伝学を使ってウイルスの侵入を詳しく解明するための例を確立し、HCVの取り込みにスカベンジャー受容体タイプBクラスIが果たす役割を実証した。また、受動免疫によってHCV侵入が防止可能であることがわかり、組み換えワクシニアウイルスベクターが液性免疫を誘導し、異種性の抗原投与に対してある程度の防御効果が得られることが明らかになった。この系によって、免疫適格齧歯類でHCVの生活環の一部が初めて再現され、ウイルスの病原性や免疫を研究する道が開け、HCV侵入阻害剤をin vivoで検証するのに有効な基盤が得られた。 Full Text PDF 目次へ戻る