Letter 気候:進行する温暖化によって引き起こされた、完新世の熱帯氷河の不規則な後退 2011年6月9日 Nature 474, 7350 doi: 10.1038/nature10150 完新世(10,000年前から現在まで)における熱帯氷河の変動の原因と時期は、十分に解明されていない。しかし、熱帯氷河は、気候変化の鋭敏な指標であるとともに、山岳地域の水の貯蔵庫となるため、気候変化に対するそれらの感度を絞り込むことは重要である。これまでさまざまな研究によって、中高緯度域の氷河の変動が報告されているが、熱帯での氷河と気候の関係は十分に解明されていない。本論文では、ボリビアのTelata氷河(コルディレラレアル山脈の山岳地帯にある)から得られた57のモレーンを用いて、過去 11,000年(11 kyr)の10Be年代測定結果を提示する。この年代測定結果は、Telata氷河が不規則に後退していたことを示している。最拡大期からの急速で強い融解は、10.8 ±0.9 kyr前から8.5±0.4 kyr前に起こり、その後、より緩やかな後退が約200年前の小氷期まで続いた。後退速度の急激な上昇は20世紀に起こった。氷河–気候モデルでは、Telata氷河地域の年平均気温は、11 kyr前には現代の気候と比べて3.3±0.8 °C低く、小氷河期の終わりまでは2.1±0.8 °C低いままだったことを示唆している。熱帯太平洋東部の長期にわたる温暖化と、南半球夏季の日射量の増大に応答する気温の上昇が、熱帯南部での氷河の完新世における長期にわたる後退の主な駆動要因であった、と我々は考える。 Full Text PDF 目次へ戻る