Letter

物理:量子波動関数の直接測定

Nature 474, 7350 doi: 10.1038/nature10120

波動関数は、量子系を完全に記述するのに用いられる複素分布であり、量子論の中心になる。しかし、こういう基本的な役割を果たしているにもかかわらず、波動関数は通常、明確な定義がないままに抽象的な要素として理論中に導入されている。物理学ではむしろ、波動関数を使えばボルン則によって測定結果の確率を計算できるため、その実用的な側面が理解されている。現在、波動関数はトモグラフィー法を通して決定されており、この方法では測定結果のさまざまな集まりと最も矛盾しない波動関数が推定される。このような方法の間接性が、波動関数を定義する問題を一層難しくしている。本論文では、波動関数はその系の2つの相補的な変数の逐次的な測定により直接測定できることを示す。我々の方法の最も重要な点は、最初の測定を弱測定による穏やかなやり方で行い、2番目の測定が無効にならないようにすることである。その結果、我々の測定装置では、波動関数の実数成分と虚数成分が直接現れる。ここでは実験例として、単一光子の横方向空間波動関数の直接測定を示す。これは今までどのような方法でも実現されていなかった課題である。この概念は普遍的であり、偏光や周波数などの光子の他の自由度や、また電子スピン、SQUID(超伝導量子干渉素子)、トラップイオンなどの他の量子系にも適用可能であることがわかる。したがって、この方法から特定の実験操作の集合に関して、波動関数の直接的で一般的な定義が得られる。これによって、評価可能な量子系の範囲が広がり、また基礎量子論に新しい道が開けると期待される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度