Letter 系統分類:新規な中間的形態の発見による菌類系統樹の見直し 2011年6月9日 Nature 474, 7350 doi: 10.1038/nature09984 菌類は、陸上生態系のバイオマスの主要な分解者であり、動物や植物との間に重要な相互作用を確立している。しかし、菌類の進化的多様性に関する理解は現在のところ不完全であり、培地中で増殖可能な種に基づいて得られたものである。そうした培養可能な菌類の典型は、キチンに富む堅い細胞壁を持つ酵母や糸状菌である。このボディープランの進化は、不均一な生息環境への適応と共に、浸透圧栄養(細胞外消化とそれに続く栄養素の取り込み)による生活を可能としたことで、菌類の繁栄にきわめて重要であったと考えられる。今回我々は、環境DNA解析とDNAプローブによる蛍光検出とを併用し、菌類と並んで分岐するこれまで未報告のきわめて多様な形態の真核生物に関して、生態学的および細胞生物学的特性を調べた。この分岐群は、土壌、淡水、および水底堆積物を含むさまざまな生態系に存在する。複数のリボソームRNA遺伝子を用いた系統解析によって、この分岐群は、菌界の系統樹上で原始的な枝だと推定されているRozellaと同じ分枝に位置付けられた。チラミドシグナル増幅法を分類群特異的蛍光in situハイブリダイゼーションと組み合わせることにより、対象の細胞は長さ3〜5 µmの小さな真核細胞で、微小管を基本構造とする鞭毛を形成できることが明らかになった。複数の細胞壁マーカーによる共染色から、この分岐群の複数の代表的生物は、観察された生活環のどの段階でもキチンに富む細胞壁を形成せず、したがって標準的な菌類のボディープランと合致しないことが示された。我々は、正式な分類となることを想定して、このきわめて多様な分岐群をcryptomycotaと命名する。 Full Text PDF 目次へ戻る