Article 生理:アニオン選択性Cys-ループ受容体で見られる活性化と透過の原理 2011年6月2日 Nature 474, 7349 doi: 10.1038/nature10139 迅速な抑制性神経伝達は神経系の機能に必須であり、ニューロン細胞膜に埋め込まれたCys-ループファミリー受容体への抑制性神経伝達物質の結合により仲介される。神経伝達物質の結合は受容体中にコンホメーション変化を引き起こし、受容体に内在する塩素イオンチャネルが開口して、これによってニューロンの興奮性が低下する。今回我々は、抑制性アニオン選択型Cys-ループ受容体の、我々が知るかぎりでは初めての三次元構造を、3.3 Åの分解能で提示する。このホモ5量体である受容体は、線虫(Caenorhabditis elegans)のグルタミン酸作動性塩素イオンチャネルα(GluCl)である。GluCl–Fab複合体のX線構造は、アロステリックアゴニストのイベルメクチン存在下で決定され、また内在性神経伝達物質L-グルタミン酸、および開口チャネル遮断物質のピクロトキシン存在下での構造も決定された。河川盲目症(オンコセルカ症)の治療に使われるイベルメクチンは、受容体の膜貫通ドメインに結合し、開口状態のコンホメーションを安定化する。グルタミン酸はサブユニット間の界面にある古典的なアゴニスト結合部位に結合し、ピクロトキシンは細胞質側の基部近くで孔を直接ふさぐ。GluClは、迅速な抑制性神経伝達とCys-ループ受容体のアロステリック修飾の仕組みを解明するための枠組みとなる。 Full Text PDF 目次へ戻る