Letter

物理:負のエントロピーの熱力学的意味

Nature 474, 7349 doi: 10.1038/nature10123

計算によって発生する熱は、回路小型化の障害というだけでなく、情報理論と熱力学との関係の基本的側面でもある。原理的には、可逆演算はエネルギーコストなしに実行できるかもしれない。非可逆計算は必ず、後でデータ消去が行われる可逆演算に分解されるとするならば、エネルギーコストを計算する問題は消去の研究に帰着する。ランダウアー原理は、ある系に記憶されたデータの消去は、固有の仕事コストを持ち、したがって熱を散逸させることを示している。しかし、この考えは、消去される系に関する情報が古典的であると仮定しており、消去される系に関する量子情報を観測者が持っている可能性があるような一般的な場合、例えばその系と絡み合った量子メモリーを用いて消去されるといったような場合には拡張されない。本論文では、ランダウアー原理の標準的定式化と意味が、量子情報が存在するともはや妥当ではなくなることを示す。我々の主な結果は、消去の仕事コストは系のエントロピーによって決まり、系に関して観測者が持つ量子情報によって左右されることである。言い換えると、観測者が系について知るほど、それを消去するコストが少なくなる。この結果は、もともと情報理論に導入されている条件付きエントロピーに直接的な熱力学的意味をもたらす。さらに、それは計算による発熱に新たな限界を付与する。それは、条件付きエントロピーは、量子的な場合には負になりうるため、系と強く相関した観測者は、消去中に仕事を得る可能性があり、これによって環境が冷却されるからである。

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