Letter 進化:潜在的な遺伝的変動は、RNA酵素の迅速な進化適応を促進する 2011年6月2日 Nature 474, 7349 doi: 10.1038/nature10083 潜在的な遺伝的変動は、表現型の突然変異に対するロバスト性が原因で生じる。潜在的変動は一定の遺伝的背景や環境背景の下では表現型に影響を及ぼさないが、突然変異や環境変化が起こると表現型に影響を与える場合がある。自然選択による進化適応には表現型の変化が必要なので、表現型に現れた潜在的変動が進化適応を促進する可能性がある。これが可能になるのは、潜在的変動がたまたま新しい環境に前適応(エクサプテーション)していて、それがひとたび顕在化すると有利に働くという場合である。しかし、このような潜在的変動の進化適応促進作用は証明されていない。その一因は、これにかかわる研究のほとんどが、遺伝的基盤が完全には解明されていない生物全体の複雑な表現型を対象にしているためである。今回我々は、潜在的変動の蓄積したRNA酵素集団が潜在的変動のない集団に比べ、新しい基質に対してより速く適応することを明らかにする。この進化するRNA集団を遺伝子型空間で詳細に解析したところ、潜在的変動によって、集団は新しい環境でのみ適応的に働く新しい遺伝子型を探せることがわかった。これらの観察結果から、潜在的変動には変化した環境に前適応した新しい遺伝子型が含まれることがわかった。これらの知見は、ロバスト性とエピスタシスが進化適応を促進する役割を持つ場合があることを明確に示している。 Full Text PDF 目次へ戻る