Letter

生態:南アフリカの陸域深部地下で見つかった線形動物

Nature 474, 7349 doi: 10.1038/nature09974

地殻内部に向かって3キロメートル以上の深さまで広がり、地球の生物圏の重要な一部を占めている深部地下生物圏は、20年以上前に発見されて以来、単細胞生物の世界と考えられてきた。こうした深部地下では、温度、エネルギー、酸素分子や空間に制約があるため、より複雑な多細胞生物が生存する可能性はないとみられていた。本論文では、南アフリカの深部鉱山で深さ0.9〜3.6キロメートルの深さの亀裂から得られた亀裂地下水から検出または回収された線形動物門種(線虫類)について報告する。これらの動物種は、掘削時に使う採掘用水中には検出されなかった。新種Halicephalobus mephistoを含むこれらの地下線虫類は、高温に耐性を持ち、無性生殖を行い、地下の細菌を好んで摂食する。炭素14データは、これらの線虫類が生息する亀裂地下水が3,000〜1万2,000年前の古天水(palaeometeoric water)であることを示している。我々のデータは、線虫類が、生息可能な温度のほかの深部低酸素環境にも存在すると考えられること、および、地下水が湧出する亀裂表面上のバイオフィルム断片を摂食して微生物集団密度を制御している可能性を示唆している。今回の結果は、既知の後生動物生物圏を拡張するとともに、深部生態系が従来考えられていた以上に複雑であることを示している。地球の深部地下に多細胞生物が発見されたことは、太陽系のほかの惑星の地下生命探索にも重要な意味を持ってくる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度