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脳:記憶の精度に必要な学習関連フィードフォワード抑制結合の発達

Nature 473, 7348 doi: 10.1038/nature09946

成熟脳では、新しいシナプスが生じて既存のシナプスが失われるが、こうした構造可塑性の機能は明らかではない。新しい技術の学習は、新たなシナプスの形成と相関している。こういう新生シナプスは、新たな記憶を直接符号化している可能性もあるが、記憶の符号化や想起の過程に必要なより一般的な役割も担っている可能性がある。本論文では、海馬や小脳の回路の入口にある苔状繊維末端複合体が、マウスの学習の際にどのように再編成するか、またその再編成がどのような機能的役割を持っているかを調べた。フィードフォワード抑制を誘発する高速発火介在ニューロン上の糸状仮足シナプスの数は、単一試行学習や追加学習によってロバストで回路特異的、長期持続的かつ可逆的に増加することを示す。フィードフォワード抑制結合の増加は、大多数のシナプス前末端で起こっており、記憶の想起でc-Fosを発現するシナプス後ニューロンの数を減少させ、記憶の質的向上と時間的に相関していた。また、文脈恐怖条件付けとモリス水迷路の学習では、海馬苔状繊維のフィードフォワード抑制結合の増加が、記憶や学習行動の精度に重要な役割を持つことがわかった。Rab3a−/−マウスでは、苔状繊維の長期増強が見られなくなるが、学習に際してCA3でc-Fos発現細胞集団の再編成とフィードフォワード抑制の発達が共に失われ、記憶の精度も低下した。それと対照的に、アデューシン2(Add2、別名β-アデューシン)を失うと、c-Fos再編成は正常だが、フィードフォワード抑制の発達が消失した。これと並行して、CA3領域のc-Fos発現集団が拡大し、記憶の精度は低下した。海馬苔状繊維特異的にAdd2を再発現させると、フィードフォワード抑制の発達と記憶の精度は共に回復した。これらの結果から、特定のシナプスの数的増加と成熟動物の学習・記憶の精度との間の因果関係が確かめられた。また、海馬苔状繊維での可塑性とフィードフォワード抑制の発達が、海馬依存的記憶の精度と関係付けられた。

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