Letter

気候:カナダ北極諸島における氷河と氷帽からの質量損失の急増

Nature 473, 7347 doi: 10.1038/nature10089

山岳氷河と氷帽は、現在の海水準上昇速度に大きく寄与しており、次世紀以降も同様に寄与し続けるであろう。グリーンランドの北西沿岸沖に位置するカナダ北極諸島は、大陸氷床を除く陸氷全球体積の3分の1を保有するが、海水準の変化への寄与はほとんどわかっていない。本論文では、カナダ北極諸島が近年、61±7 Gt yr−1の氷を失い、0.17±0.02 mm yr−1の海水準上昇に寄与したことを示す。我々の見積もりは、2004年から2009年の期間におけるカナダ北極諸島の氷帽と氷河の局所的な質量変化についてのものであり、3つの別々の方法、すなわち表層の質量収支モデルに氷流失の見積もりを加えたもの(SMB+D)、衛星レーザーによる高度の繰り返し測定(ICESat)、衛星による重力の繰り返し測定(GRACE)に基づいている。これら3つの方法による結果はすべて一致しており、その見積もりは大きな質量損失を示している。2004年から2006年までの期間と2007年から2009年までの期間の間で、質量損失速度は、温暖化した夏季の気温に直接応答して、31±8 Gt yr−1から92±12 Gt yr−1へと急激に増加し、夏季の高温に対する感度は高かった(1 K上昇当たり64±14 Gt yr−1の増加)。本研究が行われた期間はあまりにも短いため、長期の変化傾向を立証できないが、2007年から2009年の間には、質量損失速度の増加によって、グリーンランドと南極大陸を除けば、カナダ北極諸島がユースタティックな海水準上昇に対する単一要因として最大となっている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度