Letter

遺伝:マウスES細胞と分化の際に見られる5-ヒドロキシメチルシトシンの動的制御

Nature 473, 7347 doi: 10.1038/nature10008

DNA中のシトシンの5位のメチル化は、ゲノムの機能に重要な役割を担っており、初期胚や生殖細胞の発生中に動的に再プログラム化される。哺乳類のゲノムも5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を含んでおり、これは胚性幹(ES)細胞で高発現しているTETファミリーの酵素が、5-メチルシトシン(5mC)を酸化することによって作られるらしい。本研究では、5hmCと5mCに対する抗体と、ハイスループット塩基配列解読を用いて、マウスの野生型ES細胞と変異ES細胞、および分化中の胚様体で、メチル化とヒドロキシメチル化のパターンをゲノム規模で調べた。5hmCはほとんどがユークロマチンと結合しており、また、5mCのレベルが遺伝子プロモーターやCpGアイランドで低いのに対して、5hmCは逆に高く、転写量の増加に関連していることがわかった。ゲノム中のほとんどの5hmCは、すべてではないにしても、既存の5mCに依存しており、これらの2つの修飾のバランスはゲノム領域によって異なっている。Tet1Tet2のノックダウンは、多能性に関連する遺伝子(EsrrbPrdm14Dppa3Klf2Tcl1およびZfp42など)を含む遺伝子群の発現低下に加えて、それらのプロモーターでのメチル化の増加を同時に引き起こし、ES細胞の胚外細胞系譜への分化傾向が強まる。分化中のTET群のレベル低下は、ES細胞特異的な遺伝子のプロモーターでのヒドロキシメチル化レベルの低下と、メチル化と遺伝子サイレンシングの増加に関連している。ゲノム中のヒドロキシメチル化とメチル化のバランスは、多能性と細胞系譜拘束のバランスに密接に関連していると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度