Letter 植物:幹細胞によって誘発され、CLV3p–FLS2シグナル伝達を介する免疫 2011年5月19日 Nature 473, 7347 doi: 10.1038/nature09958 植物の茎頂分裂組織(shoot apical meristem;SAM)中にある幹細胞は葉や茎、花の器官形成に備える自己複製可能な貯蔵器官である。自然状態では、SAM以外の部分に感染があってもSAMから無病の植物が再生でき、園芸ではこれに基づく作業が数十年前から実際に行われている。しかし、SAM免疫の分子基盤は、いまだに明らかになっていない。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)のSAMの幹細胞で発現・分泌され、幹細胞の恒常性の重要な調節因子として機能するCLAVATA3ペプチド(CLV3p)が、フラジェリン受容体キナーゼFLS2を介して免疫シグナル伝達と病原体抵抗性を誘導しうることを明らかにする。CLV3p–FLS2シグナル伝達は、CLV1受容体、CLV2受容体を介した幹細胞シグナル伝達系とは無関係に働き、FLS2を介した成長抑制とも共役していない。SAMで内在性のCLV3pが細菌フラジェリンのパターン認識受容体であるFLS2によって認識されることは、自然免疫系においてこれまではっきりしていた自己と非自己の区別を崩すことになる。CLV3pが二重に認識されることは、植物ペプチドと、発生と免疫の両方を担う受容体キナーゼシグナル伝達系が共進化してきたことを示している。SAMあるいは生殖系列における免疫の強化は、植物と動物に共通する、不死の運命に向けた戦略なのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る