Letter 遺伝:マウス胚性幹細胞での転写調節におけるTet1の二重の機能 2011年5月19日 Nature 473, 7347 doi: 10.1038/nature09934 DNAメチル化による哺乳類ゲノムのエピジェネティック修飾(5-メチルシトシン)は、クロマチン構造、遺伝子発現および細胞固有の性質の維持に非常に大きな影響を与える。最近の研究で、Tet(Ten-eleven translocation)ファミリーに属するタンパク質が5-メチルシトシンを5-ヒドロキシメチルシトシンに変換できることが示され、Tetタンパク質によって異なるエピジェネティックな状態が確立される可能性が浮上した。我々は最近、Tet1がマウスの胚性幹(ES)細胞で特異的に発現していること、およびES細胞の維持に必要であることを示している。本論文では、クロマチン免疫沈降とハイスループットDNA塩基配列解読を組み合わせて用い、マウスES細胞でTet1は、転写活性化された遺伝子およびポリコームに抑制される遺伝子のプロモーターのCpGが豊富な配列に選択的に結合することを示す。多くのTet1結合部位でDNAメチル化のレベルが増加するが、Tet1を除去しても、すべてのTet1標的で発現低下が起こるわけではない。転写活性化された遺伝子群の一部では発現維持にTet1を介するプロモーターの低メチル化が必要だが、Tet1がポリコームの標的である発生調節因子の抑制にも関与していることは興味深い。Tet1は、CpGが豊富な遺伝子プロモーターへのPRC2の動員を促進することで、このような遺伝子群のサイレンシングに寄与する。したがって、今回の結果は、CpGが豊富なプロモーターでのDNAメチル化レベルの調節におけるTet1の役割を証明するとともに、多能性因子の転写を促進し、ポリコームの標的である発生調節因子の抑制にも関与するという、Tet1の二重の機能も明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る