Letter

量子情報科学:単一原子の量子メモリー

Nature 473, 7346 doi: 10.1038/nature09997

光の量子ビット(キュービット)の正確な保存は、長距離の量子通信、量子ネットワーキングや量子分散コンピューティングに不可欠である。そのために必要な光量子メモリーは、光子キュービットを受け取り、再生できなければならない。また、このメモリーは、いかなる古典デバイスにも勝って、未知の光量子状態をよく保存しなければならない。これまで、これら2つの必要条件を満たしていたのは、集団励起による情報の物質粒子集団への保存だけであった。しかし最近の伸展により、光と物質の単一量子間での情報交換への道が開かれた。この単一粒子を使う手法では、物質キュービットへのアドレスが可能になり、これは実際に実装する際に根本的な利点がある。第一に、状態検出によって光子の保存が成功したことを知らせる伝令付き機構が可能になる。これは不可避的な損失や有限の効率に対抗する手段となる。第二に、これにより各々のキュービットの操作が可能になり、そのため保存した量子情報をin situで処理する道が開ける。本論文では、光の任意の偏光状態から、光共振器内に捕獲した単一原子への、またその逆方向の転写により、このような量子メモリーの最も基本的な実装方法を実証する。メモリーの性能は弱いコヒーレントパルスを使って検証し、完全な量子過程トモグラフィーを使って分析した。その結果、平均の忠実度は93%と測定された。また、低いデコヒーレンス速度から、180マイクロ秒を越えるキュービットコヒーレンス時間が得られた。このため我々の系は多機能な量子ノードとなり、光量子ゲートや量子中継器への応用にきわめて有望と考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度