Letter 物理:高温ケイ酸塩メルトにおけるソーレー効果と同位体分別 2011年5月5日 Nature 473, 7345 doi: 10.1038/nature09911 凝縮相中の拡散は、広く見られる現象であるがほとんど解明されていない。例えば、化学拡散は化学的濃度勾配による物質輸送(フィックの法則)だが、温度勾配によって生じる質量輸送である熱輸送(ソーレー効果)とは別の過程として扱われる。過去数年間に、熱勾配のあるケイ酸塩メルト中のMg、Ca、Fe、Si、Oの同位体比に大きな変動があることが発見されているが、その物理的機構は提案されていない。本論文では、高温の地球化学的メルトにおけるMg、Ca、Feの化学的分別と同位体分別の両方を説明する天然凝縮系の拡散モデルを提示する。これらの溶融体が高い温度(T>1,000 °C)であるにもかかわらず、同位体レベルでの拡散の解明には、拡散種の量子力学的零点エネルギーの考慮が不可欠であることが見いだされている。このモデルは、熱的質量輸送と化学的質量輸送を、基盤となる同一の拡散機構に基づく現象として説明している。本研究によって、大気中の水循環、地質系や地球化学系、原始太陽系など、さまざまな天然凝縮系における質量輸送現象(拡散や蒸発)や付随する同位体分別に関する知見がもたらされると期待される。また、本研究は、生物学的凝縮系やナノテクノロジーの凝縮系における質量輸送の研究にも関連してくる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る