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細胞:肺腺がん進行のNkx2-1による抑制

Nature 473, 7345 doi: 10.1038/nature09881

転移性肺がんは有病率が高く、患者の転帰は不良であるにもかかわらず、腫瘍の進行および転移の機構はほとんど解明されていない。本論文では、コンディショナルな対立遺伝子を用いて、KRASの活性化点変異およびp53経路の不活化が高頻度に見られるヒト肺腺がんのマウスモデルを作製した。KrasLSL-G12D/+;p53flox/floxマウスの肺上皮細胞で、レンチウイルスを介して体細胞の発がん性Krasを活性化させ、p53を欠失させると、肺腺がんの発生が始まる。腫瘍化は特定の遺伝学的変化と同時に起こるが、悪性化するのはその一部のみであるため、疾患の進行にはさらなる変化が必要であることが示される。レンチウイルスの挿入部位を確認することで、非転移性腫瘍と転移性腫瘍を識別でき、また、このような腫瘍のタイプを決める遺伝子発現の変化を明らかにできた。種間比較解析から、NK2関連ホメオボックス転写因子のNkx2-1(別名、Ttf-1あるいはTitf1)が悪性化の抑制因子候補であることがわかった。このマウスモデルでは、Nkx2-1陰性は、悪性度が高い低分化腫瘍の特徴である。転移性腫瘍および非転移性腫瘍に由来する細胞で機能獲得および喪失実験を行ったところ、Nkx2-1はin vivoで腫瘍の分化を制御し、転移能を抑制することが示された。Nkx2-1に調節される遺伝子の検討、特定の進行段階の腫瘍の解析、および機能的補完実験から、Nkx2-1は胚限定のクロマチン調節因子Hmga2抑制などにより腫瘍の進行を阻止することが示される。ヒト肺腺がんの一部で見られるNKX2-1の局所的な増幅が発がんの機能として注目を集めているが、我々のデータは、Nkx2-1の発現低下を分化の喪失、腫瘍播種能の上昇および転移傾向の増加に特異的に関連付けている。したがって、Nkx2-1は同じ腫瘍タイプで発がん機能および腫瘍抑制機能を持つことから、二重の機能を有する系統因子としての役割が実証される。

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