Letter 生理:胎盤は胎仔前脳への一時的なセロトニン供給源である 2011年4月21日 Nature 472, 7343 doi: 10.1038/nature09972 セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン;5-HT)は、精神的健康に長期的影響を及ぼす母体–胎児間相互作用を介して、神経発生過程を調節していると考えられている。妊娠中の胎仔の5-HTについては、胎仔の5-HTニューロン以外に母体からのかなりの寄与があると考えられているが、まだ実験的に立証されていない。今回、大半の背側縫線ニューロンが5-HTを欠損しているPet1−/−(Fevとも呼ばれる)マウスを用いて、胎仔期の脳に含まれる5-HTに対して推定されている中枢あるいは末梢の5-HT供給源について調べた。その結果、胎仔期の初期および後期の前脳と後脳の間で、5-HTの蓄積量にこれまで知られていなかった相違が見つかり、これが母体起源ではなく、外部の5-HT供給源によるものだとわかった。別の遺伝学的戦略として、ex vivoで胎盤の生物学的性質を調べるための新技術と、胎盤での5-HT新規合成の直接操作を用い、この外因性5-HT供給源の性質を調べた。マウスとヒトの両方で、母体のトリプトファン前駆体から5-HTを合成する経路が胎盤に存在することが判明した。この研究は、胎仔の脳発生の調節に胎盤の代謝経路が新規の直接的な役割を果たしていることを明らかにするとともに、母体–胎盤–胎仔間の相互作用が、5-HTが長期にわたる精神衛生転帰に及ぼす顕著な影響の根底にある可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る