多様性はどのようにして維持されているのだろうか。環境の不均一性が重要だと考えられてはいるが、外観上は均一な環境でも多様性が観察されている。これは、弱い選択、変異の投入、または希少な場合の遺伝子型の適応度的な有利さのいずれかによると考えられている。今回我々は、多様性の安定的維持に関して、代謝的および生理学的なトレードオフに由来する新しい一般的機構の可能性を明らかにする。このモデルでは、そうしたトレードオフ関係が、適者の近隣には変異を起こしそうな不適者が存在し、また変異に対してよりロバストな低い適応度ピークも存在するような、適応度地形へ転換されることが必要である。「適者生存」は変異速度が低い場合に当てはまり、変異速度が高いと変異が起こりにくい、つまり「フラット」なグループの生存(survival of the flattest)に取って代わられる。しかし、準種レベルでの頻度依存的な負の選択および変異に対するロバスト性の差異の結果として、適者とフラット・グループの双方が共存する移行帯が認められる。単純な環境に棲む単純な生物では多様性の維持が可能であるが、存在するトレードオフ関係が多いほど維持領域は広くなる。その原理は、種内の系統、または群集内の種に当てはまると考えられ、均一な環境で競争的排除が必ずしも観察されない理由の説明となる可能性がある。この原理によって、クローン細菌に見られる代謝戦略の不可解な豊富さが予測され、抗菌治療としての致死変異誘発の安全性に疑問が投げかけられる。