哺乳類の雌におけるX染色体不活性化(XCI)は、二性間でのX染色体連関遺伝子産物の遺伝子量補償を可能とする。発生の際のこの現象の調節については、マウスで詳細にわたって研究されてきた。マウスでは、調節性RNAであるXist(X-inactive specific transcript)のインプリントされた発現のために、父性由来のX染色体(Xp)は初期胚発生の間発現抑制されている。父性XCIは胚盤胞の内部細胞塊で取り消され、続いて胚盤葉上層の細胞でランダムなXCIが起こる。本研究では、他の真獣類哺乳動物はXCIの開始に非常に多様な方法を使うことを示す。ウサギやヒトでは、Xist相同遺伝子はインプリンティングに支配されず、XCIはマウスよりも遅く始まる。さらに、ウサギおよびヒト胚の細胞では、たとえ内部細胞塊であっても、高い割合で、両方のX染色体でXistの発現が上昇する。このためウサギでは、細胞によって、両方のX染色体でXCIが引き起こされるものもある。ヒトでは、XISTの発現上昇にもかかわらず、胚盤胞期になっても染色体全体でのXCIは開始されない。したがって、ウサギやヒトではマウスとは異なり、どちらのX染色体が最終的に不活性になるかの選択は、Xist発現上昇の下流で起こる。我々の研究は、XCI調節の顕著な多様性を明らかにするとともに、初期胚発生時の遺伝子量補償の必要性は哺乳類間で違いがあることを強調している。