Letter 材料:ヒザラガイの歯に存在する埋め込まれた有機–無機界面のナノスケール化学トモグラフィー 2011年1月13日 Nature 469, 7329 doi: 10.1038/nature09686 生物は、鉱物化組織の構造や特性を制御する非常に高い能力をもっており、例えば、滑らかに曲がった単結晶や丈夫で軽い自己修復性骨格要素の形成などを誘導できる。多くの生体鉱物では、鉱物が形成され、その形状や多形が制御され、鉱物化に際して埋め込まれるときに、有機マトリックスと鉱物との間に相互作用が生じる。こうして生じた複合体がもつ並外れた破壊靭性や耐摩耗性などの顕著な機能的特性は、複数の階層レベルで埋め込まれた有機–無機界面に起因している可能性がある。そのような界面をナノメートルの長さスケールで分析し制御することは、新しい有機エレクトロニクス材料や光起電力ハイブリッド材料の分野にとっても非常に重要である。しかし、埋め込まれた有機–無機界面の構造的・化学的複雑さの解明は、最先端画像化技術にとって難題である。今回我々は、パルスレーザー原子プローブトモグラフィーによって、海産軟体動物であるヒザラガイ類に属するChaetopleura apiculataの歯中のナノ結晶マグネタイト(Fe3O4)鉱物に囲まれた直径5〜10 nmの有機繊維の三次元化学マップが明らかになることを示す。注目すべきは、ほとんどの繊維がナトリウムまたはマグネシウムと共局在している点である。さらに、これらのカチオンは繊維中でクラスターを形成しており、これは今まで未知だった構造的階層レベルの存在を示唆している。我々の結果は、ヒザラガイの歯では個々の有機繊維の化学組成が異なることを示しており、したがってこれらは繊維形成やマトリックス–鉱物相互作用の制御にそれぞれ異なる機能的役割をもつと考えられる。原子プローブトモグラフィーは、高い三次元空間分解能と周期表全体にわたる感度があるため、このような化学的/構造的不均質性を検出できる。レーザーパルス原子プローブトモグラフィーによるナノメートルスケールの界面の定量分析と可視化は、骨、象牙質やエナメル質などの生体鉱物だけでなく、有機–無機合成複合材料の理解に大きく貢献すると期待される。 Full Text PDF 目次へ戻る