Letter システム生物学:人工の多細胞ネットワークによる分散型の生物学的計算 2011年1月13日 Nature 469, 7329 doi: 10.1038/nature09679 合成生物学およびシステム生物学の分野では、基本構成要素として人為的に改変した生物学的単位を用いる人工計算装置の構築をめざして研究が進められている。この種の研究は、電子回路の標準設計にヒントを得たものだが、それぞれが別々の分子によって実行される基本的な計算単位(論理ゲート)を適切な接続回路で結ぶことが難しく、それが研究の制約になっている。今回我々は、複雑なブール論理計算の論理的に異なる実行形式が存在し、それによって改変細胞間で任意の出力を重複して分配できるために配線の制約が軽減することを示す。本論文では、さまざまな方式で組み合わせることができる一連の改変酵母細胞を用いた実際の実行例を紹介する。それぞれの構造物が論理機能を規定し、細胞およびその接続の組み合わせによってさらに複雑な人工装置の構築が可能となる。原理の実証として、我々は、わずかな数の改変細胞を用いて多くの論理機能を実行した。注目すべきことに、これらの細胞をわずかに変更したり組み合わせたりすることにより、マルチプレクサーや繰り上げのある1ビット加算器のようにさらに複雑な回路の実行が可能となり、回路の小部品の再利用に大きな可能性があることが示された。今回の結果は、細胞の「共同体」を用いるやり方が、単一細胞での実行では容易に解決することができない複雑な計算課題を成し遂げる効率的な方法の1つになることを裏付けている。 Full Text PDF 目次へ戻る