Letter 細胞:アゴニストとβ2アドレナリン受容体が形成する不可逆的な複合体の構造と機能 2011年1月13日 Nature 469, 7329 doi: 10.1038/nature09665 Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は真核生物の膜内在性タンパク質で、化学的に多様なアゴニストに応答して細胞内シグナル伝達を開始させることにより、生物的機能を変化させる。しかし、GPCRの構造生物学研究の最近の進歩にもかかわらず、GPCRのアゴニストとの結合やアロステリック調節の分子基盤はほとんど解明されていない。受容体の活性化機構の解明や構造に基づいたリガンドの設計や最適化には、アゴニストに結合した状態の構造を知ることが不可欠だが、アゴニストが結合したGPCRの結晶化は、入手できるアゴニストの親和性がそれほど高くなく、解離速度が速いためにこれまで難しかった。我々は、ヒトβ2アドレナリン受容体(β2AR)の不活性型構造を手がかりに、受容体の特定部位にジスルフィド結合により共有結合できるβ2ARアゴニストを設計した。この共有結合性β2AR–アゴニスト複合体は効率よく形成され、ヘテロ三量体Gタンパク質を活性化する。我々は脂質液晶法を使って、脂質二重層中の共有結合性のアゴニストが結合したβ2AR–T4L融合タンパク質を結晶化し、その構造を分解能3.5 Åで決定した。この不活性な構造と抗体で安定化した活性な構造(同時掲載の論文参照)との比較から、細胞外表面、細胞内表面で起こる結合事象がこの受容体の活性型コンホメーションの安定化に必要であることが明らかになった。Gタンパク質や安定化抗体がないと、アゴニストが結合した活性なコンホメーションが自発的に弛緩して不活性型構造になることを示した長時間スケール(最長30 µ秒)での分子動態シミュレーションとこの構造はよく一致する。 Full Text PDF 目次へ戻る