Letter 遺伝:統合的ゲノミクスにより神経芽細胞腫がん遺伝子として同定されたLMO1 2011年1月13日 Nature 469, 7329 doi: 10.1038/nature09609 神経芽細胞腫は交感神経系に発生する小児がんであり、小児におけるがん死亡数の約10%を占める。我々は、神経芽細胞腫に対する遺伝的リスク因子を明らかにするために、4つのヨーロッパ系症例・対照集団における患者計2,251人および対照被検者計6,097人を対象として、全ゲノム関連解析(GWAS)を実施した。本論文では、11p15.4のLMO1(LIM domain only 1)遺伝子内の領域に、有意な関連(rs110419において統合P = 5.2 × 10−16、リスク対立遺伝子のオッズ比 = 1.34[95%信頼区間1.25〜1.44])が認められることを報告する。この関連は、最も悪性度の高い種類の神経芽細胞腫を有する患者群で顕著に認められた。LMO1遺伝子はシステイン残基に富む転写調節因子をコードし、そのパラログ(LMO2、LMO3およびLMO4)は、それぞれがんとの関連がこれまでに示されている。全ゲノム関連解析と並行して我々は、701種の原発腫瘍について、ゲノム全域にわたってDNAコピー数変異を分析した。その結果、その12.4%にLMO1遺伝子座の遺伝子重複による異常が生じており、この異常が進行の進んだ症例(P < 0.0001)および生存率(P = 0.041)と関連することを見いだした。これら生殖系列細胞での一塩基多型(SNP)リスク対立遺伝子の存在および体細胞でのコピー数増加は、神経芽細胞腫細胞株および原発腫瘍内でのLMO1発現増加と関連しており、このことは腫瘍発生においてそれらが機能獲得(gain of function)型の作用をもつことを示唆している。短鎖ヘアピン型RNA(shRNA)導入によるLMO1の発現抑制により、LMO1を高発現する神経芽細胞腫細胞の増殖が阻害されたのに対し、LMO1を低発現する神経芽細胞腫細胞でのLMO1の強制発現では、増殖が促進された。今回の結果は、LMO1遺伝子座に存在する一般的な遺伝子多型が、神経芽細胞腫発生に対する易罹患性と強い関連があることを示すとともに、この遺伝子座において悪性化を惹起するさらなる体細胞突然変異の発生にも影響を及ぼすであろうことを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る