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細胞:c-Jun N末端のリン酸化はMbd3/NuRD抑制因子複合体のリクルートを抑制する

Nature 469, 7329 doi: 10.1038/nature09607

AP-1(activator protein 1)転写活性は、増殖因子、サイトカインおよび細胞外ストレスといった多数のシグナルに応答して強力に誘導される。がん原遺伝子産物であるc-Junは、AP-1遺伝子群に属する転写因子であり、腸前駆細胞の増殖や腫瘍形成の非常に重要な調節因子である。AP-1活性化の重要な機序はJunアミノ末端キナーゼ(JNK)によるc-Junのリン酸化である。c-Junのトランス活性化ドメインN末端のリン酸化によって、標的遺伝子の転写が増加するが、その分子レベルでの説明は明らかになっていなかった。本論文では、N末端がリン酸化されていないc-Junは、Mbd3と相互作用し、その結果、NuRD(nucleosome remodelling and histone deacetylation)抑制因子複合体をリクルートするが、リン酸化を受けているc-Junにはこのような作用はみられないことを示す。大腸がん細胞でMbd3を除去すると、AP-1依存性プロモーターでヒストンのアセチル化が増加して、標的遺伝子の発現増加が引き起こされた。腸幹細胞マーカーであるlgr5が、c-Jun/Mbd3によって制御される新規の標的遺伝子であることが同定された。mbd3を腸特異的にコンディショナルに除去すると(mbd3ΔG/ΔGマウス)、c-Jun活性が増強され、前駆細胞の細胞増殖が増加した。炎症反応の場合は、mdb3欠損によって大腸におけるの細胞の過剰増殖が引き起こされ、また、mbd3ΔG/ΔGマウスでは、大腸炎誘発性腫瘍形成に対する感受性が大きく増加したことが示された。特に、同時にc-junの単一対立遺伝子を不活化すると、生理学的および病理学的な過剰増殖や、mbd3ΔG/ΔGマウスでの腫瘍形成の増加が、元の状態に戻ったことは注目すべきである。このようにして、c-Junのトランス活性化ドメインは、Mbd3/NuRDをAP-1標的遺伝子にリクルートすることにより遺伝子抑制を仲介し、また、この抑制はJNKを介したc-JunのN末端のリン酸化によって解除される。

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