Letter 細胞:H2AXは、G1期のリンパ球でCtIPが仲介するDNA末端切除および異常な修復を防ぐ 2011年1月13日 Nature 469, 7329 doi: 10.1038/nature09585 発生中のすべてのリンパ球では抗原受容体遺伝子を形成する際に、RAG(recombination activating gene)エンドヌクレアーゼによるDNA二本鎖切断(DSB)が起こる。RAGによるDNA切断は細胞周期のG1期にのみ起こり、ヘアピンで閉じられた形の2つのDNAコード末端が生じ、古典的な非相同末端再結合(NHEJ)による修復の前にヌクレアーゼによる開裂が必要である。この機能を果たすことができる細胞内ヌクレアーゼは数種類あるが、効率よく行えるヌクレアーゼはArtemisのみである。本論文では、in vivoで、マウス細胞のヒストンタンパク質H2AXが、ヘアピンで閉じられたコード末端のArtemis以外のヌクレアーゼによるプロセシングを防ぎ、H2AXがない場合は、CtIPによって、RAG切断により生じたDNA末端のヘアピン開裂および切除が効率よく推し進められることを示す。このCtIPが仲介する切除はγ-H2AXとMDC-1(mediator of DNA damage checkpoint 1)によって阻害される。MDC-1は、DNA DSBに隣接するクロマチンのγ-H2AXに結合する。さらに、ATM(ataxia telangiectasia mutated)キナーゼが、この切断を調節する拮抗的な経路を活性化する。CtIPのDNA末端切除活性は、通常細胞周期の複製後の段階にある細胞だけに限られており、この時期の相同性を介する修復に不可欠である。G1期のリンパ球では、CtIPによるプロセシングを受けたDNA末端は古典的なNHEJでは効率的に結合できず、形成された結合の多くは数塩基の相同領域によるため、顕著な染色体の欠失を示す。したがってH2AXは、G1期のリンパ球で切断されたDNA末端の構造的完全性を保護しており、それによってこれらDNA末端がゲノムの不安定化を助長する修復経路に入ることを防いでいる。 Full Text PDF 目次へ戻る