Letter 進化:競争と系統発生がミュラー型相互擬態種の群集構造を決定する 2011年1月6日 Nature 469, 7328 doi: 10.1038/nature09660 近年まで、群集の構造、維持、および集合に関する理解は、負および敵対的な相互作用(競争や捕食など)の研究が主流となってきた。しかし、最近の1つの理論モデルでは、正の相互作用(相利共生など)が競争を相殺し、生態的に分かれていない種どうしであっても長期的に共存することを容易にしている可能性が示唆されている。ミュラー型擬態者は、捕食者の「教育」にかかるコストを分担する相利共生動物であるため、群集動態の正と負の相互作用を調べるのに理想的である。ミュラー型擬態群集で行われたこのモデルの唯一の実験的検証からは、正の相互作用が空間的重なりによる負の作用に勝るという予測が裏付けられている(資源の獲得は定量化されていない)。ミュラー型擬態群集の進化および安定性の促進に栄養的ニッチの分配が果たす役割の解明は現在、極めて重要になっているが、本格的な研究はまだ行われていない。今回我々は、新熱帯ナマズ類の種の豊富な分類群では、資源分配と系統発生が群集構造を決定付けており、それらの作用がミュラー型擬態の正の作用に勝っていることを示す。収斂的に進化した体色パターンを示す生殖的に隔離された複数の独立した異所的群集は、92%が資源を争わない種によって構成されている。系統発生的に保存された形質(口吻の形態や体の大きさ)に認められる大きな差異は、形質特異的な資源の獲得と一貫して結び付いていた。したがってこれは、栄養資源を巡る競争および系統発生が、ミュラー型擬態環(mimicry ring;同じ擬態をする種の集まり)の安定的進化の重要な要因であることを示す、我々が知るかぎりで初めての証拠となる。もっと一般的にいえば、今回の研究は、資源を巡る競争が、正負双方の相互作用の影響を同時に受ける群集の構造化に主要な役割を担っている可能性が高いことを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る