脂肪組織由来のホルモンであるレプチンは、エネルギー収支の安定維持に働く。それには、中枢神経系を介した交感神経出力の増強による脂肪燃焼増大がかかわっている。脂肪細胞のβアドレナリン受容体が活性化されると、脂肪分解および脂肪酸酸化のサイクリックAMP(cAMP)に依存した増大によって、エネルギー消費が促進される。肥満ではカテコールアミンシグナル伝達が障害されてインスリン抵抗性の発生につながると考えられているが、その機序は不明である。本論文では、CREB(cAMP response element binding;cAMP応答)配列結合コアクチベーターCrtc3が、脂肪組織でのβアドレナリン受容体のシグナル伝達の減弱により肥満を促進することを示す。Crtc3は、カテコールアミンシグナルに反応して活性化され、その際にRgs2発現の上方制御によりアデニルシクラーゼ活性を低下させた。Rgs2はGTPアーゼ活性化タンパク質の一種で、アデニルシクラーゼ活性の阻害もする。転写活性の高い、よくみられるヒトCRTC3異型の1つが2種類のメキシコ系アメリカ人コホートで脂肪症と関連付けられているので、これらの結果は脂肪細胞のCRTC3がヒトでの肥満発生に関与している可能性を示唆している。