Letter 地球:融解水供給の変動性によって駆動される氷床の加速 2010年12月9日 Nature 468, 7325 doi: 10.1038/nature09618 グリーンランドでの氷の移動速度の増大は、海水準上昇の大きな原因の1つである。氷の流れの加速は、終端が海に達している流出氷河の氷と海の相互作用や、内陸の氷床底への表層融解水供給の増大と関連している。表層の融解と氷の加速との間に相関が観測されていることから、表層の融解と加速された動的薄化が互いに強化し合う正のフィードバックの可能性が高まっており、全体的な温暖化が氷の質量損失の加速をもたらすのではないかと考えられている。本論文では、氷の流れを速くしているのは、平均的な表層融解だけではなく、流入水量の変動の増大であることを示す。氷河の流動は氷河底の水圧変化を通して間接的に融解に応答しており、観測からは、氷河下の水は低圧下では水路を通って、高圧下では互いに連結した空隙を通って排出されることが示されている。水路と空隙の排出モードの動的な切り替えを記述するモデルを用いて、水流の速度が閾値を越すと、氷河は加速するのではなく、水路が切り開かれて減速することを示す。したがって、定常的な水供給速度が増大すると、動的薄化は強化されるのではなく抑制されうる。これは、融解/動的薄化フィードバックが例外なく働いているわけではないことを示唆している。しかし、短期的な水供給の増大は、一時的な水圧の上昇によって排出系で緩和される。氷の加速はこのような急激な上昇によってもたらされており、したがって、平均的な融解水供給の増加ではなく、強い一日周期の融解サイクルと降雨の増大、表層湖からの排出によって駆動されている。 Full Text PDF 目次へ戻る