Article 構造生物学:ラッサウイルス核タンパク質の構造により明らかになったキャップへの結合と免疫回避 2010年12月9日 Nature 468, 7325 doi: 10.1038/nature09605 ラッサ熱の病原体であるラッサウイルスは、毎年数千人の死亡を引き起こしており、生物学的脅威の1つであって、ラッサ熱に対するワクチンはなく治療の有効性も限られている。ラッサウイルスの核タンパク質(NP)は、ウイルスRNAの合成と免疫抑制に必須の役割をもっているが、その分子機構はほとんどわかっていない。本論文では、1.80 Å分解能でのラッサウイルスNPの結晶構造を報告する。この構造から、アミノ(N)末端ドメインおよびカルボキシル(C)末端ドメインがとっている、既報のウイルスNPのどれとも異なっている構造が明らかになった。Nドメインは、ウイルスRNAの転写に必要なm7GpppNキャップ構造の結合のための深いキャビティをもつ新規構造を作るように折りたたまれている。一方、Cドメインはインターフェロン誘導の抑制にかかわる3′–5′エキソリボヌクレアーゼ活性をもっている。我々の知るかぎり、これはアレナウイルスNPについて解かれた最初のX線結晶構造で、予想外の機能を明らかにし、キャップ結合と免疫回避の独自の機構を示している。これらの知見により、ワクチンや薬剤開発の可能性が大幅に高まると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る