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細胞:TMEM16Fによる細胞膜リン脂質のカルシウム依存的なスクランブル

Nature 468, 7325 doi: 10.1038/nature09583

すべての動物細胞の細胞膜では、その構成成分であるリン脂質が外層と内層で非対称的に分布している。リン脂質のこの非対称的分布は、生命現象のさまざまな局面で崩壊する。例えば血小板が活性化されると、その表面にはホスファチジルセリン(PtdSer)が露出し、血液凝固反応の引き金となる。PtdSerの露出はリン脂質を双方向に輸送するCa2+依存性リン脂質スクランブラーゼの働きによると考えられているが、その分子レベルのメカニズムは解明されていない。今回我々は、TMEM16F(膜貫通タンパク質16F)がCa2+に依存したPtdSerの細胞表面への露出に不可欠な因子であることを示す。マウスB細胞系統Ba/F3を低Ca2+条件下でCa2+イオノフォアで処理すると、PtdSerを可逆的に露出した。この特徴を用いて、蛍光標識細胞分取法を繰り返すことにより、PtdSerを強く露出するBa/F3細胞亜株を樹立した。この細胞株から相補的DNAライブラリーを作成し、発現クローニングによりBa/F3にPtdSerを自発的に露出させるcDNAを単離した。このcDNAがコードしていたのは、8個の膜貫通領域をもつタンパク質であるTMEM16Fの構成的に活性な変異体である。野生型TMEM16Fは細胞膜に局在し、リン脂質のCa2+に依存したスクランブルを促進した。リン脂質のスクランブルに異常があるために起こるスコット症候群のある患者では、TMEM16F遺伝子のスプライス受容部位に変異が存在した。このため翻訳が中断し、完全長のTMEM16Fを生じなくなっていた。

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