Letter 構造:単量体ClC輸送体の設計、機能と構造 2010年12月9日 Nature 468, 7325 doi: 10.1038/nature09556 ClCファミリーのチャネルと輸送体は、細胞膜を介した無機陰イオンの移動を引き起こすことでさまざまな生物学的機能を行っており、その中には電気魚が獲物を気絶させるキロワット級の電気刺激産生という珍しいものから、エンドソーム、液胞やリソソームの酸性化といった一般的なものまでが含まれる。ClCタンパク質がホモ二量体構造をとることは、最初にサメなどのCl−チャネルの単一分子研究から推測され、その後に細菌のCl−/H+対向輸送体の結晶構造によって確認されており、みたところ全体に共通すると思われている。さらに、これらのタンパク質を通過するイオン移動を可能にする基盤装置、すなわちチャネル中の陰イオンが拡散するための水溶性の小孔、輸送体でCl−とH+の対向輸送を協調させるイオン共役チャンバーの全体がホモ二量体の各サブユニット内に含まれている。二量体の接触界面を介して共役結合による架橋を行って束縛した細菌ClC輸送体の機能がほぼ正常であること、およびコンカテマーであるヒトホモログの動態から、輸送体サイクルは各々のサブユニット内に存在しており、サブユニット間で剛直な集合体を再構築する必要がないことが示唆されている。だが、こういう証拠は推論に過ぎず、二量体化にかかわっているClC細胞外ドメインの四次元再構築が輸送活性に影響を与える例が知られていることから、ホモ二量体が独立的に機能する単一サブユニット2つから構成されている「並行経路」であると確信をもって言い切ることはできない。このような考え方から強く予想されるのは、単量体ClCが得られることである。今回我々は、大腸菌(Escherichia coli)由来の構造が既知のClCであるCl−/H+交換体のClC-ec1を用いて、二量体界面は不安定化されるが、個々のサブユニットの構造と輸送機能はともに保持される変異体を設計した。その結果、ClCサブユニットは単独で輸送の基本的機能単位となること、またサブユニット間の相互作用はClC輸送体のCl−/H+交換には必要ないことが実証された。 Full Text PDF 目次へ戻る