Letter 生理:細菌の行動の変動性と小刺激への応答の相互依存 2010年12月9日 Nature 468, 7325 doi: 10.1038/nature09551 大腸菌(Escherichia coli)の自発運動を制御する化学走性シグナル伝達ネットワークは、シグナル伝達の古典的モデル系である。この経路は、鞭毛モーターの動きを調節して、大腸菌を化学誘引物質の供給源の方向へと進ませる。この系は環境の変化に応答して定常状態へと緩和するが、化学走性ネットワーク内のシグナル伝達事象にはノイズがあり、刺激がないときでさえ、モーターの挙動の大きな一時的変化を引き起こす。同一のシグナル伝達ネットワークが挙動の変動と刺激への細胞応答の両方を支配していることから、この2つの特性が互いに独立しているのかどうかという疑問が生じる。今回我々は、生きた細菌の化学走性系で揺動–応答の関係を実験的に確立した。そしてこの関係を用いて、刺激の前に測定した挙動の変動から細胞の応答が予測可能であることを実証する。個々の細菌モーターの刺激前と刺激後の切り替えの観察により、細胞のさまざまな機能的状態に対して、変動性が応答時間と一次的に相関することがわかった。この研究は、揺動と応答との基本的関係は、熱力学的平衡状態にある物理系に限らず、生きた細胞にも拡張可能であることをはっきり示している。この関係性は、挙動の変動と細胞応答という特性が結びついていることを意味するだけではなく、ネットワーク設計の選択によってこのような相互依存が形作られる仕組みを調べられるようにする一般的な枠組みとなる。 Full Text PDF 目次へ戻る