Article 細胞:Lkb1は造血幹細胞で細胞周期とエネルギー代謝を調節する 2010年12月2日 Nature 468, 7324 doi: 10.1038/nature09571 幹細胞における代謝調節や、それによって組織再生あるいは腫瘍抑制がどのように調整されるのかについてはほとんど解明されていない。本論文では、腫瘍抑制因子Lkb1と、その基質で代謝と細胞増殖を協調させるキナーゼであるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)について検討した。マウスでLkb1(別名Stk11)遺伝子を欠失させると、造血幹細胞(HSC)の分裂増加、HSCの急速な枯渇、および汎血球減少症が引き起こされた。HSCは、多くのほかの造血系細胞種に比べて、細胞周期の調節や生存をLkb1により強く依存していた。HSCの枯渇はmTOR活性化あるいは酸化ストレスには依存していなかった。Lkb1欠損HSCでは、ミトコンドリア膜電位やATP量が低下していたが、骨髄系前駆細胞ではそうした低下はみられなかった。AMPKの2つの触媒性αサブユニットを欠損するHSC(AMPK欠損HSC)は、ミトコンドリア機能にLkb1欠損HSCと同様の変化を示したが、放射線照射マウスでの造血系再構築能は保持していた。Lkb1欠損HSCを培養すると中心体と紡錘体に異常が生じて異数体になったが、AMPK欠損HSCではこれらの異常はみられなかった。したがって、Lkb1はAMPK依存的およびAMPK非依存的な機構を介したHSCの維持に必要であり、このことは、HSCとほかのいくつかの造血前駆細胞とでは代謝調節や細胞周期調節に違いがあることを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る