Letter 構造生物学:X線結晶学により明らかになったチクングニヤウイルス粒子の糖タンパク質の編成 2010年12月2日 Nature 468, 7324 doi: 10.1038/nature09555 チクングニヤウイルス(CHIKV)は、蚊によって媒介される新興ウイルスで、この5年間にヒト消耗性疾患の広範囲にわたる流行を引き起こしている。感受性細胞へのCHIKVの侵入は、2つのウイルス糖タンパク質、E1とE2により仲介される。これらは主な抗原決定基をもち、ビリオン表面上に二十面体の殻を形成する。p62前駆体のフリンによる切断からE3と共に生じる糖タンパク質のE2は、受容体結合に、E1は膜融合にかかわっている。CHIKVの生物学的性質を解明するために行われてきた多くの分野にわたる協調した努力を踏まえて、本論文では、前駆体p62とE1が作るヘテロ二量体、および成熟したE3–E2–E1糖タンパク質複合体の結晶構造を報告する。得られた原子モデルは、アルファウイルス全体を通じて長年にわたり蓄積された遺伝学的、生化学的、免疫学的、電子顕微鏡学的な豊富なデータの統合を可能にする。こうしたデータを組み合わせて、25 MDaのアルファウイルス表面に糖タンパク質が形成する殻の機能的構造の詳細な様相が明らかにされる。シンドビスウイルスE2–E1ヘテロ二量体の酸性pHでの構造に関するもう1つの報告(p.705)と共に、この研究からは、ウイルス粒子上で酸により誘起されるコンホメーション変化と、未成熟複合体に本来備わっている阻害機構についての新たな手がかりが得られる。 Full Text PDF 目次へ戻る