Article 細胞:ヒト繊維芽細胞の多系列血液前駆細胞への直接転換 2010年11月25日 Nature 468, 7323 doi: 10.1038/nature09591 再プログラム化されたヒト誘導多能性幹細胞の利用は、胚由来幹細胞の場合と同様に、細胞系列の指定に関する解明の程度によって制限されている。本論文では、ヒトの皮膚繊維芽細胞から、造血系に運命決定された前駆細胞および成熟細胞を、多能性を確立させずに直接作出できることを示す。OCT4(別名POU5F1)によって活性化される造血系転写因子の異所性発現に加えて、特定のサイトカイン処理を行うと、汎白血球マーカーであるCD45を発現する細胞が作出できた。類のないこれらの繊維芽細胞由来細胞からは、顆粒球、単球、巨核球および赤血球の系列細胞が生じ、また、in vivoで生着能をもつことが示された。成体の造血プログラムが活性化されており、これは多能性状態を経ないで血液細胞への運命決定が起こったことと一致する。したがってこれは、胚のプログラムが活性化される多能性幹細胞が関与する造血とは異なっている。これらの知見は、ヒト繊維芽細胞での多分化能の回復を示したものであり、自家細胞補充療法のための、ヒト多能性幹細胞の使用に付随するやっかいな諸問題を回避する代替的な細胞再プログラム化法を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る