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医学:悪性度の高い腫瘍でのp53を介する腫瘍抑制作用の選択的活性化

Nature 468, 7323 doi: 10.1038/nature09526

非小細胞肺がん(NSCLC)は世界的にがん関連死亡の主要原因となっており、その全症例での5年生存率はわずか10〜15 %である。通常NSCLCの特徴の1つとされるRas経路の調節不全は、直接的にKrasを活性化する変異を通じて起こることが多い。また、NSCLCでは多くの場合、p53が不活性化されているが、発がん性Rasはp53の強力な誘発因子の1つであることから、発がん性Rasのシグナル伝達はp53に対抗する選択を行わせるのに、主要かつ持続的な役割をもつ可能性が高いと思われる。したがって、p53機能の薬理学的回復はNSCLCの治療戦略の1つとして有望である。本論文では、p53機能回復によってどのような治療効果がみられる可能性があるかを、内因性Krasのがん遺伝子による散発的な活性化により誘発されるNSCLCが自発的に発生するマウスモデルを用いて調べた。意外にも、p53の機能回復によって定着腫瘍の顕著な縮小は誘導されなかったが、悪性度の高い腫瘍の相対的割合を相当度低下させた。これは、各腫瘍内で悪性度のより高い腫瘍細胞でのみ、p53が選択的に活性化されるためである。p53のこのような選択的活性化は、Rasシグナル伝達強度の顕著な上方制御および、発がんシグナル伝達センサー分子p19ARFの誘導と相関している。我々のデータは、p53を介する腫瘍抑制作用は発がん性Rasシグナルの変動する伝達量が臨界閾値を越えたときのみ惹起されることを示している。重要なことに、低いレベルのKrasではp53が活性化しないことから、腫瘍の初期進展を抑制するp53の能力、およびp53の機能回復によるがんの消退効果における固有の限界が明らかになる。

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