Letter 海洋:栄養段階にみられる海洋漁業の「指紋」 2010年11月18日 Nature 468, 7322 doi: 10.1038/nature09528 生物多様性の指標は、地球の状態をうかがい知るための重要なのぞき窓であり、政策展開や管理の指針となる。最も広く採用されている海洋指標は漁獲物の平均栄養段階(MTL)で、高い栄養段階の捕食種から低い栄養段階の無脊椎動物とプランクトン採食種への移行を検出することを目的としている。この指標は、人間による影響として報告されている傾向の根拠となっており、捕食者が上から崩壊していく(海洋食物網を上から下へ向かって漁獲する)場合や、低い栄養段階の漁獲が拡大する(海洋食物網を満遍なく漁獲する)場合に低下する。ここでは、漁獲物のMTLが生態系のMTLや生物多様性の変化を反映したものだと仮定している。今回我々は、モデルによる予測を、漁獲物、トロール網での調査、および漁業資源評価からの全球的なMTL評価と組み合わせ、漁獲物のMTLは海洋生態系の変化を確実に予測してはいないことを見いだした。むしろ、漁獲物MTLの傾向は、種々の調査や評価から得られる生態系MTLの傾向からかけ離れていることが多い。漁獲物MTLが急速に低下しているという従来の知見とは対照的に、漁獲物、調査および評価のMTLには最近上昇がみられている。しかしながら、現在ほとんどの栄養段階からの漁獲量が増加しつつあり、たとえMTLの傾向が安定または上昇しているとしても、このような漁獲量増加は漁業の崩壊を強める可能性がある。海洋生物多様性に対する漁業の影響を検出するためには、海洋種、特に漁業の影響を受けやすい種の真の存在量の傾向を測定する努力を強めることを勧めたい。 Full Text PDF 目次へ戻る