Letter

細胞:Tsix調節と多能性の分子的連結

Nature 468, 7322 doi: 10.1038/nature09496

in vivoおよびin vitroの多能性獲得過程におけるX染色体不活性化の再プログラム化には、X不活性化の引き金であるXistの抑制と、そのアンチセンス遺伝子Tsixの発現上昇が伴う。我々は以前に、多能性を支える主要な因子(Nanog、Oct4およびSox2)は、未分化の胚性幹細胞ではXistのイントロン1内に結合して、Xistの転写を抑制していることを示している。しかし、多能性ネットワークの転写因子とTsix調節の間の関係は明らかになっていない。本論文では、胚性幹細胞におけるTsixの発現上昇は、Tsixプロモーターに結合したDXPas34ミニサテライトへの、多能性マーカーRex1、および再プログラム化関連因子であるKlf4およびc-Mycの動員に依存していることを示す。DXPas34を欠失させると、この3個の因子は結合しなくなり、転写装置が効率よくTsixプロモーターに動員されなくなる。ノックダウン実験を含めて、さらに解析を行うと、Rex1はTsixの効率的な転写伸長に非常に重要であることが明らかになる。したがって、異なる胚性幹細胞特異的複合体によって、不活性なXの再プログラム化と多能性は連結されている。つまり、Nanog、Oct4およびSox2によるXist抑制によって不活性化Xの再活性化が促進され、また、Klf4、c-Myc およびRex1によるTsix活性化によってXistクロマチンがリモデリングされ、分化における任意のX不活性化が確実になるのである。我々が同定した多能性因子によるXist/Tsix調節の全体的なパターンから、多能性専用の装置によって複雑なエピジェネティック過程全体が直接支配されていることが示唆される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度