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視覚:ショウジョウバエの動体視覚にかかわるオン経路とオフ経路

Nature 468, 7321 doi: 10.1038/nature09545

動体視覚は全視覚系のうちの主要な機能であるにもかかわらず、その基盤となる神経機構や回路はよくわかっていない。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の最初の視神経叢である視葉板では、視細胞からの信号がL1からL5の5つの平行路に分けられる。本論文では、これらの経路が動きの視覚的検出にどのように寄与しているかについて、遺伝学的操作による活動抑制と種々の型の視葉板細胞の神経活動の再構築を、下流の動き感受性ニューロンからのホールセル記録と組み合わせて検討した。L1またはL2を抑制すると、動く格子への応答が低下することがわかった。一方、L1またはL2のみへの視細胞入力を再構築させただけで野生型の応答が回復した。前者の結果は、両経路が必要なことを示すが、後者の結果はいずれか一方の経路だけで十分であることを示している。この食い違いは、L1とL2が電気的に共役しており、どちらか一方が視細胞からの入力を受けるだけで両経路とも活動すると考えれば説明できる。L1経路とL2経路の基本的な違いは、L1またはL2どちらか一方の出力を抑制しながら、正(オン;明るくなる)または負(オフ;暗くなる)のコントラスト極性をもったエッジを動かして見せることで明らかになる。L1を抑制すると、オンの動くエッジへの応答がなくなり、L2を抑制するとオフの動くエッジへの応答がなくなった。したがって、脊椎動物の網膜で、視細胞からの信号がオンとオフの双極細胞経路によって分離されるのと同様に、ショウジョウバエの視葉板でも、視細胞からの信号はオンのL1経路とオフのL2経路に分離されている。

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