Letter 神経:過剰なGABA仲介型持続性抑制の軽減は脳卒中後の機能回復を促進する 2010年11月11日 Nature 468, 7321 doi: 10.1038/nature09511 脳卒中は能力障害の主要原因だが、回復を促進する薬物治療法は現時点では存在しない。脳卒中で損傷を受けた箇所付近の脳領域である虚血辺縁領域では神経可塑性が亢進し、損傷領域からの知覚運動機能の再配置を可能にするので、ここはリハビリテーションに必須である。したがって、この可塑性を制限している神経特性の解明は、新たな治療法の開発に重要である。今回我々は、脳卒中後のマウスの虚血辺縁領域では持続性の神経抑制が増強していることを示す。この持続性抑制増強はシナプス外GABAA受容体が仲介しており、GABA(γ-アミノブチル酸)輸送体(GAT-3/GAT-4)の機能異常により引き起こされる。亢進した抑制を打ち消すために、脳卒中後にしばらく時間が経ってから、α5-サブユニットを含むシナプス外GABAA受容体に特異的に働くインバースアゴニスト(逆作動薬)のベンゾジアゼピンの1つをin vivoで投与した。この投与によって、運動機能の持続性の回復が早期に生じた。持続性抑制にかかわるα5あるいはδ-サブユニットを含むGABAA受容体の数を遺伝学的に減少させても、脳卒中後の回復に効果があることがわかり、これはシナプス外GABAA受容体機能減弱が示す治療効果と一致する。総合すると、今回の結果は新たな薬物治療の標的を突き止め、脳卒中や、おそらくはほかの脳損傷でも、その後の回復を促進する新規戦略の理論的根拠となる。 Full Text PDF 目次へ戻る