Letter 生理:アンギオテンシノーゲンの酸化還元スイッチがアンギオテンシン放出を調節する 2010年11月4日 Nature 468, 7320 doi: 10.1038/nature09505 血圧を決定的に制御しているのはアンギオテンシンである。アンギオテンシンは昇圧ペプチドで、プロテアーゼ阻害物質セルピンファミリーの非阻害性メンバーであるアンギオテンシノーゲンの尾部から酵素レニンによって特異的に切り出され、放出される。アンギオテンシノーゲンは受動的な基質であると長い間考えられてきたが、今回我々が明らかにした分解能2.1 Åでの結晶構造は、アンギオテンシン切断部位がアミノ末端尾部の中に埋め込まれていて酵素が近づけないことを示している。タンパク質分解のためにこの部位に酵素が到達できるようにするコンホメーション再編成は、ヒトのアンギオテンシノーゲンとレニンが作る複合体の、分解能4.4 Åでの結晶構造によって明らかになった。これにかかわる協調的な変化は、保存されているが不安定なジスルフィド架橋に重要なつながりがあることがわかった。本論文では、還元された非架橋型アンギオテンシノーゲンと酸化されたスルフヒドリル架橋型とは、循環中にほぼ40:60という割合で存在し、スルフヒドリル架橋型が受容体結合型レニンと優先的に相互作用することを示す。アンギオテンシノーゲンが、この酸化還元応答性の変化によって細胞レベルでより効果的にアンギオテンシンを放出する型へ移行することが、血圧調節に寄与していると我々は考える。特に、妊娠中の母子両方の健康と生存を脅かす高血圧クリーゼである子癇前症では、母体循環中でより活性の高いスルフヒドリル型のアンギオテンシノーゲンへの酸化による切り替えが起こっていることを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る