Letter 細胞:UBIAD1が新規のヒトメナキノン-4生合成酵素であることを同定 2010年11月4日 Nature 468, 7320 doi: 10.1038/nature09464 自然界では、ビタミンKは植物型のフィロキノン(PK)、細菌型のメナキノン(MK)類などのいくつかの形で存在する。ヒトを含む多くの種では、肝臓のビタミンK含有量に占めるPKの割合は低く、肝臓に最も多量に存在するビタミンKは長鎖のMK類である。メナキノン-4(MK-4)は、肝臓以外の組織にも広範に存在し、特にヒトやラットでは、脳、腎臓および膵臓に高濃度でみられる。これまでに、PKが生体内でMK-4に変換されることが示されており、これは、ある種の組織内でPKが直接MK-4に変換する、あるいは、一度メナジオン(K3)の形に変換した後にプレニル化を受けることでMK-4が生じる、のどちらかであると考えられている。しかし、MK-4の生合成を担うヒト酵素の同定を試みた研究はこれまで全く行われていなかった。我々は以前に、マウス大脳でPKおよびK3がMK-4に変換されることを明らかにしている。しかし、この変換反応の分子機構は明らかではなかった。本論文では、ヒトでのMK-4の生合成を担う酵素を同定したことを報告する。我々は、ヒトゲノムのデータベースでプレニル化反応を担う酵素を検索し、大腸菌(Escherichia coli)のprenyltranferase menAのヒトホモログであるUbiA prenyltransferase containing 1(UBIAD1)を見いだした。ヒト細胞でUBIAD1遺伝子に対する短鎖干渉RNAを行うと、重水素標識ビタミンK同族体の重水素標識MK-4(MK-4-d7)への変換が阻害されることがわかった。UBIAD1遺伝子の発現と、UBIAD1遺伝子導入バキュロウイルスを感染させた昆虫細胞における重水素標識ビタミンK同族体のMK-4-d7への変換を検討することにより、UBIAD1遺伝子がMK-4生合成酵素をコードする遺伝子であることが証明された。UBIAD1により変換生成されたMK-4-d7は、2H-NMR解析により化学的に同定された。また、UBIAD1によるMK-4の生合成はビタミンKアンタゴニストであるワルファリンの影響を受けないこともわかった。このUBIAD1は、細胞内では小胞体に局在しており、マウスの複数の組織で広範囲に発現していた。我々の結果から、UBIAD1がヒトでのMK-4の生合成を担う酵素であることが明らかとなった。MK-4生合成酵素を同定したことは、ビタミンKの摂取や骨の健康に重要かつ有益な情報を提供することになろう。 Full Text PDF 目次へ戻る