Letter がん:遠隔転移は膵臓がんの遺伝的進化の後期に起こる 2010年10月28日 Nature 467, 7319 doi: 10.1038/nature09515 転移とは腫瘍細胞が最初に発生した臓器からそれとは異なる臓器へ播種し、そこで増殖することを指し、がん患者の最も一般的な死因となっている。このことは特に膵臓がんに当てはまり、大部分の膵臓がん患者は転移ありと診断され、化学療法や放射線治療に反応し続ける人はほとんどいない。ほかのタイプのがん患者に比べて膵臓がん患者の予後が悪いのは、診断が遅れるためなのか、あるいは遠隔臓器への播種が早期に起こるためなのかはわかっていない。本研究では、7例の膵臓がん転移のゲノム塩基配列解読から得られたデータにより、原発巣と転移性がんのクローンの関連性を調べた。その結果、遠隔転移を起こしたクローン集団は原発性腫瘍に含まれるが、この集団は、元の非転移性の親クローンから遺伝的に進化したものであることがわかった。したがって、転移巣の不均一性は原発性がん内の不均一性を反映している。膵臓がんの遺伝的進化の時間経過を定量的に解析したところ、イニシエーション変異から、親となる非転移性創始細胞が成立するまでに、少なくとも10年かかることが示唆された。転移能力を獲得するまでにさらに少なくとも5年が必要で、患者はそれから平均2年で死亡する。これらのデータは、膵臓がんの進行の基盤になっている遺伝的特性についての新しい手がかりを提供し、転移性病変による死亡を防ぐためのがんの早期発見の好機となる長い時間枠を示すものである。 Full Text PDF 目次へ戻る