Letter 細胞:プレキシン受容体を介するセマフォリンシグナル伝達の構造的基盤 2010年10月28日 Nature 467, 7319 doi: 10.1038/nature09473 セマフォリンとその受容体であるプレキシンは、さまざまな生物学的過程で用いられている多面的なシグナル伝達系で、この2つのタンパク質ファミリーは、どちらもヒトの数多くの病気に関係している。プレキシンの細胞外ドメインの膜から遠い位置にある領域に、可溶性または膜に結合したセマフォリンが結合すると、プレキシンの細胞質側の領域に存在するGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)が活性化され、最終的には細胞の接着挙動が変化する。しかし、この受容体活性化の仕組みの構造的な基盤はほとんど解明されていない。今回我々は、セマフォリン6A(Sema6A)の受容体結合断片とプレキシンA2(PlxnA2)のリガンド結合断片について、シグナル伝達前(すなわち結合前)とシグナル伝達状態(すなわち複合体形成後)両方の結晶構造を明らかにした。結合の前には、Sema6Aの細胞外ドメインは予想どおり、Sema3AやSema4Dと同様のface-to-face(側面どうしが接触する)の配置をとったホモ二量体であったが、PlxnA2のほうは、予想外なhead-on(上面どうしが接触する)のホモ二量体を形成していた。これに対し、Sema6A–PlxnA2シグナル伝達複合体の構造は2:2のヘテロ四量体であることがわかった。この四量体では、2個のPlxnA2単量体が解離し、head-onホモ二量体形成時に使われているのと同じ上面を使って、Sema6Aホモ二量体の上面に結合しており、プレキシンが結合の「相手を取り替えた」ことになる。変異リガンド/受容体を使った細胞での活性測定により、Sema6Aが側面どうしで結合して二量体を作っていることに生理的な意味があり、シグナル伝達過程を通してこの配置が維持されることが確かめられた。つまり、細胞表面のプレキシンがホモ二量体からヘテロ二量体に移行するとその分子軸が膜に対して特定の方向をとるようになるが、この変化が、リガンドの結合という「信号」を細胞質領域へ伝えてGAPドメインの再配置と活性化を引き起こす構造的な機序らしい。 Full Text PDF 目次へ戻る