Letter 発生:ショウジョウバエ初期胚でのpiRNA経路による母系mRNAの脱アデニル化と分解 2010年10月28日 Nature 467, 7319 doi: 10.1038/nature09465 piRNA(Piwi-associated RNA)は、Piwi型のArgonauteタンパク質群によって産生される、24〜30塩基長の特殊な種類のRNAであり、トランスポゾンの抑制に生殖系列特異的な機能をもつ。この抑制には、ヘテロクロマチン形成や、転写や転写後のサイレンシングが関係すると考えられている。piRNA経路はほかにも、生殖系列幹細胞の維持や、生殖系列のDNAの無傷状態維持にも必須の機能をもっている。今回我々は、母系メッセンジャーRNAの減衰や、初期胚での翻訳抑制におけるpiRNA経路の予想外の機能を明らかにした。母性・胚性転移時の胚では、母系mRNA集団の一部は分解される。ショウジョウバエ(Drosophila)でのmRNA分解は、RNA結合タンパク質Smaugと脱アデニル化酵素CCR4に加えて、胚性に発現するマイクロRNAクラスターに依存する。我々は、胚後部のモルフォゲンNanos(Nos)をコードするmRNAを母系mRNA減衰研究のモデルケースとして用い、CCR4を介したnosの脱アデニル化が、nos 3′非翻訳領域中の特異的部位に相補的なpiRNAを含む、piRNA経路の構成因子に依存することを見いだした。piRNAによる調節が損なわれた場合、脱アデニル化は胚でのnos mRNAの安定化と翻訳抑制解除につながり、頭部の発生異常が起こる。このpiRNA経路のArgonauteタンパク質群の1つであるAubergineは、胚の大部分でSmaug、CCR4、nos mRNAおよびnos 3′非翻訳領域を標的とするpiRNA群を含む複合体中に存在する。piRNA群とその関連タンパク質はSmaugと共に働いて、CCR4脱アデニル化複合体を特異的なmRNAに誘導することで、それらの減少を促進すると考えられる。この調節にかかわるpiRNAは転移因子から産生されるため、この結果は遺伝子発現調節において転移因子が発生に直接かかわる機能をもつことを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る