Letter 生理:父親の慢性的高脂肪食摂取によりプログラムされる雌仔ラットのβ-細胞機能不全 2010年10月21日 Nature 467, 7318 doi: 10.1038/nature09491 ほとんどの年齢層において男女の差なく肥満が世界的に増加している。これは、2型糖尿病の早期発症とそれに関連する疾患の原因となっている。親のいずれかが肥満であることは、小児肥満症の独立した危険因子となる。摂食による母親の肥満が、子の脂肪過多および代謝に有害な影響を及ぼすことは明らかにされているが、父親の肥満がどの程度影響を及ぼすのか、特にその因果関係において非遺伝的要因が果たす役割については明らかにされていない。今回我々は、父親の高脂肪食(HFD)摂取が、雌のF1ラットのβ細胞に「機能不全」をプログラムすることを示す。SD系ラットの雄に慢性的にHFDを摂取させると、体重増加、脂肪過多、グルコース耐性障害およびインスリン感受性低下が引き起こされた。このラットの雌仔は、対照群と比較して、インスリン分泌低下およびグルコース耐性障害が早期発症して時間経過と共に増悪したが、脂肪蓄積は正常であった。父親のHFDは、雌仔成体で642個の膵島遺伝子の発現を変化させた(P < 0.01)。これらの遺伝子は、陽イオンおよびATPとの結合、細胞骨格および細胞内輸送を含む13の機能クラスターに属すものであった。発現に変化が認められた(P < 0.05)2,492個の遺伝子に対するより広範なパスウェイ解析では、カルシウム、MAPKおよびWntの各シグナル伝達経路、並びにアポトーシスおよび細胞周期への関与が示された。発現量に最も大きな差が認められたIl13ra2遺伝子(1.76倍の増加)では、メチル化の減少が示された。今回の結果は、HFDの代謝続発症が、非遺伝的に父親から仔世代へと伝達されることを哺乳類において最初に示した報告である。 Full Text PDF 目次へ戻る