Letter 地球:暁新世始新世境界温暖極大期に先立って起こった大陸の温暖化 2010年10月21日 Nature 467, 7318 doi: 10.1038/nature09441 海洋と大陸の記録は、約5,580万年前に炭素同位体比が突然負方向に変化したことを示している。この炭素同位体比偏位(carbon isotope excursion;CIE)は、莫大な量の同位体的に軽い炭素が大気中に放出されたことと一致しており、暁新世始新世境界温暖極大期(PETM)とよばれる全球の急激な温度上昇と関連していた。CIEの間に放出された温室効果ガスはおそらくメタンを含み、これがPETMによる温暖化の主要原因と考えられている。しかし、海洋記録から得られた証拠の一部は、CIEに先立って温暖化が起きたことを示しており、CIEとPETMが、その前に起きた起源の異なる温暖化と関連がある可能性が出てきている。しかし、CIE前の温暖化はまだよくわかっていない。CIEとPETMの間、またその前に起きた事象の順序を明らかにすることは、急激な気候変動の原因と、それに対する地球システムの応答を解明するうえで重要である。本論文では、ワイオミング州ビッグホーン盆地で、CIEに先立ち約5 °Cの大陸温暖化が起こったことを示す。我々の証拠は、哺乳動物の歯に含まれる酸素同位体(温度に敏感な分別過程を反映している)とほかの代理指標に基づいており、CIEの直下の層とCIEに当たる層で再度、顕著な温度上昇が起きたことを明らかにしている。CIEに先立つ温暖化は、CIEに当たる層の下にある土壌の炭酸塩中のδ13C値に負の増幅がみられることからも裏付けられる。この結果は、少なくとも2回の温暖化(最初のものはメタンではなさそうである)がPETMの原因となっていることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る