Letter 気候:全球の陸面蒸発散量の変化傾向に近年みられる、水分供給制限に起因する減退 2010年10月21日 Nature 467, 7318 doi: 10.1038/nature09396 現在、陸面に吸収される太陽のエネルギーの半分以上が、水の蒸発に使われている。気候変化は、水循環を強化し、蒸発散量を変化させると予想されており、生態系サービスや、地域的気候や全地球的気候へのフィードバックに影響を与える。蒸発散量の変化は既に進行している可能性があるが、観測による直接的な制約は全球規模では不十分である。そのような証拠が得られるまでは、気候変化と気候変動の影響の重要な診断基準である陸地の水循環の変化はわからないままである。本論文では、1982〜2008年における全球の陸面蒸発散量のデータ駆動型推定を提示する。これは、全球の観測ネットワーク、気象観測とリモートセンシング観測、および機械学習アルゴリズムを用いて集約された。さらに、過程ベースの陸面モデルのアンサンブルを用いて、同じ期間での蒸発散量の変動を見積もった。その結果、全球の蒸発散量は、1982〜1997年のうちの10年間で平均して、1年間当たり7.1±1.0ミリメートル増加したことが示唆された。その後は、1998年に起こった最新の大きなエルニーニョ現象と時期を同じくして、全球の蒸発散量増加は停止し、2008年まで増加しなかったようである。この変化は主に、南半球、特にアフリカとオーストラリアにおける水分の制約によって起こった。これらの地域では、マイクロ波衛星観測によって、土壌の水分が1998年から2008年にかけて減少したことが示されている。したがって、蒸発散に対する土壌水分の制約の増大によって、全球の陸面蒸発散量の変化傾向に近年みられる減退の大部分が説明される。蒸発散量の変化のようすが自然な気候変動を表しているのか、より永続的な陸水循環の再構築を反映しているのかは地球システム科学における重要な問題である。 Full Text PDF 目次へ戻る