Letter 環境:生物起源の二次有機エアロゾル粒子のアモルファス固体状態 2010年10月14日 Nature 467, 7317 doi: 10.1038/nature09455 二次有機エアロゾル(SOA)粒子は、人為起源や生物起源の揮発性有機化合物(volatile organic compound;VOC)の凝縮可能な酸化生成物から、大気中で生成される。全球規模では、生物起源のVOCは、VOC放出とSOA形成(1年当たり900億キログラム炭素)の約90%を占める。SOA粒子は、光を散乱し、雲凝結核や氷晶核となり、そのために、地球の放射収支や気候に影響を与える。SOA粒子は、物理化学的特性の異なる多種多様な化合物からなり、SOA粒子の相状態の情報は乏しい。ガス–粒子分配モデルは通常、SOA粒子が液体であると仮定するが、本論文では、SOA粒子が周囲条件下で固体として存在しうることの実験証拠を示す。我々は、植物生育室を使った実験と、大気中の核生成イベント後数時間以内の北方林で、VOCの酸化生成物から形成される生物起源のSOA粒子を調べた。エアロゾルインパクターで観測された粒子の跳ね返りと電子顕微鏡観察に基づいて、生物起源のSOA粒子はアモルファス固体状態(おそらくガラス状態)をとりうると結論された。このアモルファス固体状態の発見によって、SOA過程は見直されるべきである。なぜなら、この状態は、準揮発性物質の分配に影響を与えたり、不均一化学反応の速度を遅くしたり、SOA粒子が水分を保持して雲凝結核や氷晶核となる能力に影響を与えたり、その粒子の大気中での寿命を変化させたりする可能性があるからである。したがって、本研究の結果は、大気中でのSOAの形成と変質の反応速度論的および熱力学的性質と、大気の質と気候へのSOAの影響に対する従来の考え方に異議を唱えるものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る