Letter 免疫:プレT細胞抗原受容体の自動的に起こる二量体化の構造的基盤 2010年10月14日 Nature 467, 7317 doi: 10.1038/nature09448 未熟胸腺細胞に発現しているプレT細胞抗原受容体(pre-TCR)は、TCRのβ選択、CD4−CD8−ダブルネガティブ胸腺細胞の生存と増殖、その後のαβT細胞系列への分化に重要な役割を担っている。αβ型TCRのT細胞シグナル伝達がペプチド負荷された主要組織適合複合体との結合によって開始されるのに対して、pre-TCRが誘導するシグナル伝達は、リガンドに依存しない二量体化によって起こる。pre-TCRは、TCRβ遺伝子再構成が完了した任意のTCRβ鎖(TCRβ)と、不変的なα鎖(pre-Tα)との対からなる。今回我々は、pre-Tα–TCRβの会合とpre-TCR二量体化の基盤を明らかにする。pre-Tα鎖は、TCRα鎖の定常(C)領域とは構造的に異なる単一の免疫グロブリン様ドメインから構成されるが、pre-TαとTCRβの会合様式は、αβTCRのCα–Cβドメインによって仲介されるものをそっくり再現している。pre-TCRは溶液中で二量体化しやすく、またpre-TCR二量体の分子エンベロープは、観察されたhead-to-tail型(分子が相互に逆方向を向いている)のpre-TCR二量体と相関性が高かった。pre-TCRがこういう二量体化様式をとると、pre-Tαドメインはβ鎖の可変(V)および結合(J)領域の遺伝子ファミリー間で高度に保存されている残基を介して、Vβドメインと相互作用が可能になり、したがってαβTCRのVα–Vβ接触面の中心での相互作用が再現された。このpre-Tα–Vβ二量体の接触面を破壊すると、溶液中でのpre-TCR二量体化が起こらなくなり、また細胞表面上のpre-TCR発現が減少する。よって、最終的な特異性には関係なく、TCRβ鎖のVおよびCドメインの両方について正しく折りたたまれているかどうかをpre-Tα鎖が同時に試すのを可能にするpre-TCRの自己会合機構が明らかになった。これはT細胞発生における重要なチェックポイントである。このpre-Tαの珍しい二重シャペロン様の感知機能は、発生時の品質管理が膜内在性受容体複合体の発現とシグナル伝達を調節するという、自然界の独特な機序を表している。 Full Text PDF 目次へ戻る